命は金よりも軽い
9.11テロは、アメリカが画策した自作自演のテロだという説がある。
国際貿易センターに飛行機が突っ込んだ際、「あぁ、これで戦争が始まる」と思った人は数知れないだろう。そして、アメリカの軍事産業は活況を極めることとなった。
これはあくまで推察の域を出ない。アメリカが軍事産業で儲けるために、自国民を犠牲にしたと断定することはしない。しかし、世界のどこかしこで、命と引き換えにカネを得ようとするドス黒い考えがはびこっているのは間違いない。
それを見事に表したアート作品がある。
私が好きな作家 会田誠氏の『Jumble of 100 Flowers』である。
会田氏の作品では、美少女は価値あるもののメタファーとして用いられる。この作品では、おそらく命を表していることだろう。
そして、美少女たちは、この絵に登場しない”何者か”によって射撃を受ける。腹わたが溢れるもの、首が吹き飛ぶもの、半身がちぎれるもの…残虐なシーンを描いている。通常の思考であれば、少女たちは、苦痛の表情を浮かべるに違いないと思うはずだ。しかし、この絵では、そうなっていない。
少女たちは、満面の笑みすら浮かべているのだ。彼女たちは、何か大切なものが失われようとしていることに気がついていないのだろうか。
また、狙撃を受けた部分からは、ダイヤモンドやおカネやイチゴが飛び散っている。
命が消えようとするその瞬間、命が別のモノに交換されている。命はかけがえのないものという観念を完全に無視した世界が、この絵には広がっている。
しかし、これが現実ではなかろうか。
資本が重視され、効率が重視され、何か私たちの大切なものが失われている感覚はないだろうか。それは命かもしれない。命とはいかないまでも、私たちの尊厳に関わるようなものであると直感せずにはいられない。
私たちは、何を失いつつあるのだろうか。